私がマーケティング思考から組織活性化までの独自理論に揺るぎない自信がある理由

私がマーケティング思考理論、企業理念の重要性、組織活性化の独自理論に揺るぎない自信がある理由をお伝えします。

1.マーケティング思考

マーケティング思考は大手老舗企業日本鉱業の先達からの学び、
ランチェスター戦略はその典型的実践者バッファローからの学び
イノベーションのジレンマは、画期的な経営学書そのものからの学びです。
私独自の主張としてオリジナリティがあるのは、これらの理論を一本の筋道で有機的に繋げて行くことで、全体像としてのビジョンを描くところまで道筋を示しているところと法人営業の本質的ノウハウです。

2.企業理念

企業理念については、日本鉱業環境に対する理念と行動の合致、バッファローでの顧客利便性を徹底追求する理念と実行動の合致を目の当たりにし、多くの起業家が明確なミッション、ビジョンをもって他者を惹きつけていることを学んだ上で、その重要性を説いています。

ここに繋がる、経営者・マネージャーなどの高位にある者の矜持を教えて下さったのは、パナソニック出身のバッファロー役員でした。

3.組織活性化

組織活性化・組織作りについては、日本鉱業時代の大事業部の管理部門長による「システムとは体系化することだ」とする教え、高度な専門知識を持った技師長からの品質管理の教え、
間接的にホンダベトナム出身者から学んだマネージャーとしての行動原理の教えが支えとなっています。

4.マーケティング分析からビジョン構築まで

マーケティング分析・戦略構築から、企業理念・ビジョンを現実性のあるものにし、それを起点に組織活性化の動きを展開する、それらを一気通貫で行うべき、ということと、

5.他者への愛

それらの行動原理の根底に他者への愛が無くてはならないとするのは私の主張が唯一無二であると考えるところです。
自著出版後に読んだ、私が最も尊敬する経営・マーケティングコンサルタントのジェイ・エイブラハム氏がその著作で「他者への愛」力説しているのを見て、自身の信念に更に確信を持てるようになりました。

6.尊敬する先人達の教え

いずれも尊敬する先人達の教えが基盤にあり、私が自身の浅薄な経験だけから語っているものではありません。だから、このブログ、著作・セミナーで伝えている理念と内容に揺るぎない自信があるのです。

7.ブログ、著作、セミナー事業に至る経緯

こうして得たものを著作にして出すに至ったのは、ベトナム時代から私を慕ってくれるベトナム人の部下達にこれらを伝承して彼等を育成しようと作成したレジュメを書き溜めていたこと、そして彼等から著作の完成版を読ませて貰いたいと期待されていることが背景にあります。
こうした知見が私の死とともに消え去ってしまうことが、いかにも勿体ないとの想いから、まずは日本語版を出版完了しました。

近い将来には英語版を発行して彼等の思いに応えたいと考えています。

そして、この日本語版を出版してセミナー事業を行って行くことで、販売不振に悩む中小企業経営者の方々を救うことが出来るのではないかと考えるに至ったのは、ベトナム時代の3名の友人に背中を押して貰ったからです。
私のブログ記事、著作、Webセミナーが皆様のお役に立てることを願って止みません。

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営業は科学である マーケティング分析から事業戦略、営業戦略への道筋

企業が成り立つためには売ることが最優先です。経営者はマーケティング思考、法人営業・営業戦略の本質を知って、これを営業責任者に落とし込んで行くだけの見識を持つ必要があります。これを避けては経営は成り立ちません。

私が過去に接してきた経営者は、海外現地法人の社長という方々が多いのですが、
過去の事業が成り立った上で、雇われ社長としてその地位を継承した方々が、
所与の市場があり、現在の事業が未来永劫続くことを疑わず、日常のオペレーションに謀殺されていると感じることが殆どでした。

(自ら起業した本当のベンチャー企業の場合は、エンジェルからの投資を得るため、綿密な事業計画を立てているので、そうした場合にはこの懸念は該当しません。そうした方々は、過去の私のように、組織活性化の知見が無い場合が多いので、そこを補強して頂ければ良いと思います。)

こうした状況を抜け出して、事業を成長軌道に乗せるために書籍・セミナーでマーケティング思考の必要性を説いています。

営業とは、マーケティング思考とは、それによって読者・セミナー受講者にどのようなベネフィットをもたらすのか
一般的なマーケティング・ポジショニングの分析理論と何が違うのか、
について説明させて頂きます。

1.営業は科学である

営業は科学である、というのが法人営業エキスパートとしての私の持論です。
データを基に仮説を立てて、それに基づく実行計画を立て、それを検証する。
立てた実行計画・戦略が想定通りの結果に繋がらなかった場合、仮説に戻って何が間違えていたのかを見極めて、仮説の修正を行う。これを繰り返すことで仮説・戦略の精度を上げていく。これを科学と呼ばずして何と定義するのでしょう。

ここでのデータとは市場データ、自社実績データ等、マーケティング分析のための元データ、
仮説がマーケティング分析に基づくマーケティング戦略・営業戦略です。
営業を科学たらしめるのがマーケティング分析、マーケティング思考なのです。

2.マーケティングとは

マーケティングという言葉の定義をしておきます。

マーケティングは、広義では市場創造、商品を売るための行動全てです。従って営業活動もそれに含まれます。
狭義では以下の二つになります。

①自社のポジショニング(自社の強みと、それを活かせるターゲット市場を見定めること)を行う上での分析・戦略構築

②広告や企業間連携等の施策

②については世界最高のマーケティング・経営コンサルタントのジェイ・エイブラハムの著作やセミナーで学ぶ、彼のコンサルを受けるのが最も時間と金銭の投資効果が高いです。
注)ここで言うジェイ・エイブラハムの著作は彼の代表作「逆境を『飛躍』に変えるマーケティング戦略 行き詰まりを打破する9の打ち手」(ダイレクト出版)をベースにしています。あらゆる経営者にとっての必読書だと考えています。

私が本ブログ、著作、セミナーで説明しているのは①です。
そして、営業戦略の根底に①が必須であると考えています。

自社のポジショニングを定義せずに行う営業戦略立案は砂上の楼閣に過ぎません。
マーケティングを理解せずに行う営業活動は膨大な人的リソースを無駄に消耗させます。

3.欧米型の巨大企業でも分かっていない

私が最後に勤務した大手システムインテグレータは日本最大の通信事業者の海外部門を独立させ、全世界の拠点を統合した4万人に及ぶ組織でしたが、経営トップ・管理システムは欧米人主導でした。営業システムのプロセスツールと営業トレーニングがまさに欧米型なのですが、所謂リード・潜在顧客を広げること、その各々のポテンシャルを見極めて、その案件進捗を週次で管理して行くやり方でした。ここに各国拠点の、その市場におけるポジショニングを起点にした戦略の概念が全く存在せず、営業トレーニングのあまりの薄っぺらさに驚愕した経験があります。
日本企業に多くみられる、根性で客を取って来いという竹槍型戦闘マインドは、それより更に全くの論外です。

4.営業の本質

法人営業の本質は何かを説明しておきます。
先に述べたマーケティング思考が基盤となった上で、
法人営業の本質はソリューション営業コンサルティング営業です。
詳しくは私の著書で、考え方と本質に発する実践ノウハウを記述しています。
顧客ベネフィットを追求する知的で科学的な行動の背景には
企業理念、他者への愛を形にして行く全人格的なマインドがあります。
営業は、科学的思考が求められる極めて知性的な仕事であると共に、顧客の悩み・ニーズに寄り添い、掘り下げて顧客の本質的問題を解決に導く高い人格を求められる、極めてダイナミックな仕事なのです。

4.私の「マーケティング思考から始まる営業戦略」が唯一無二である理由

書籍「中小企業経営者のための法人営業の教科書 マーケティング思考の営業戦略と自律的組織運営」の中で、マーケティングについて説いた章は、
大手企業で担当事業の事業戦略・営業戦略を練って実行に移した経験に始まり、ベンチャー企業での実践、その時代にバイブルとしていた「イノベーションのジレンマ」からの学び、
そしてバッファローという典型的なランチェスター戦略実践企業での経験を経て、私独自の発展を遂げた考え方になっています。
端的に、3C分析4P戦略の説明は、その後に続く戦略的思考の土台をしっかりさせるために行っています。
では、その土台の上に積み上げる考察は何かというと、それがランチェスター戦略です。
通常、企業は幾つかの異なる商品群を持つはずです。商品の機能や適用分野、顧客層、機能や製造プロセスの違いにより複数の商品に分類されると思います。
3C、4Pは、個々の商品に対して行うミクロ分析です。
しかし、そこの最適化で留まっていては、事業の全体像、企業戦略を浮かび上がらせることが出来ません。
そこからが、ランチェスター戦略の出番です。
そして、そこで最も重要な概念が市場シェアです。
自社商品が競合に対して圧倒的に高い顧客貢献度を達成できるのは、どのような顧客層、顧客ニーズであるのか、それが市場セグメンテーション(顧客層・商品の定義)です。
その市場セグメンテーションに対してであれば、最小限のリソースで自社がトップシェアを取れるはずなので、そのような市場セグメント(顧客層・商品)が何かを定義し、そこでトップシェアを取る戦略を打って行きます。
そして、更に考察すべきなのは、次にターゲットとすべき市場セグメンテーション(顧客層・商品)は何か、更にその次は何か、そしてそれらのトップシェアを順次取って行った時に、その市場の全体像はどのようなものか、その全体像の中で、自社が最終的にどういう位置づけを目指すのかを検討します。その最終的な位置づけを実現するのはいつか、初年度はどこまで駒を進めるか、次年度は?そうやって自社が目指すべきゴールが定まって行きます。それをいつまでに、どこまでやるのか、それがビジョンであり、それを裏付けるのがマーケティング分析であり、そこに経営資源を何時どう配分して行くかを定め実行計画にしていったものが事業計画です。

ただし、このような検討を線的にリニアに行うだけでは、思いがけない落とし穴がある可能性があります。何故なら、検討対象にした市場セグメンテーションにとっての市場、顧客の先の需要分野が何で、それがこの先も成長市場であり続けるのか、何らかの破壊的技術・サービスによって、その市場自体が消滅しないか、その破壊的技術・サービスを自社の需要先として取り込むことが出来ないか、そこまでの考察が必要です。
それが、イノベーションのジレンマを学び考察する意味です。

つまり、自社の事業戦略を市場分析・成長分析を基にして立てて行く際には、自社の強みを最大限活かすべくミクロ分析は行いながら、複数の商品群を市場トップに押し上げる段どりを考え、達成すべき実現可能な将来像を明確に定めましょう、ということを説いているのです。

ここに挙げた個別の理論を説明する書籍は数多ありますが、これら各々の理論が一本の線で有機的に繋がれていなければならない、全体像としてのビジョンを描くところまで道筋を描くべき、というのが私の理論の骨子です。

ここまでの戦略を描いた上でなければ、営業戦略は成り立ちません。事業戦略の中で今年度の具体的利益目標を達成するためのターゲット顧客は市場の中でどの位置づけにあり、どこから攻略して行くか等々の行動計画を立ててPDCAを回して行くのです。
事業全体の戦略を棚に上げて、営業部門に営業成績だけ上げろというのが最もありがちで、最もリソースを空費するやり方なのです。だからマーケティング思考を実践しましょうというのが本稿及び著書・セミナーでの呼びかけです。

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英語の勧めと最短習得法を伝授します

海外で仕事をするにあたっては、本来現地語をマスターして会話が出来るようになることは必須です。ベトナムで仕事をするにあたってはベトナム語を習得すべきというのは大原則です。

2019年頃、AN‘sSPA経営者のAnさんの講演をHCMCで聴講した際、彼女が勤務したen Japanの副会長の教えとして、以下のお話がありました。

ベトナム人の心理を掴む方法は、

出来る限りローカルの地に住み、現地人の給与で生活せよ、
ランチはベトナム人と食べ、彼等がどこに行って喜ぶか、
どんな話をするか、笑う時は何で笑うか、
何を、何故買いたいか、スマホやバイクなど。
実家に行くと、その人の成り立ちが分かる。
そのためベトナム語を勉強せよ。

これはまだベトナム語を習得出来ていない身には耳が痛いお話ではあるものの、海外現地で勤務する際の本来のあるべき姿勢であることは間違いありません。

これをもって発奮しかけたものの、勤務先の公用語が英語で、親しい友人も英語が堪能だったため、基礎学習は終えたものの、会話が出来るレベルには到達出来ませんでした。
実はベトナム語は6声と言って、同じアルファベット表記でも上下に付く符号でイントネーションを使いわける必要があり、それによって意味が異なるため、これを聞き分けて、発音を仕分けるのは日本人にとっては非常にハードルが高いという事情があります。
初めてベトナムに来た日本人が一番ポピュラーなフォーを食べたくて注文しても、それさえ通じないというのは良く言われることです。

英語の勧め

ならば、次善の策としては英語を使うということになります。
一般生活においては、ハノイであれば6割がた、HCMCでは8割がたの人が英語が通じるとう感覚ですが、田舎に行くとこの比率は極端に下がります。

(ちなみに、4ヶ月ほど勤務したカンボジア プノンペンでは100%のビジネスマンがビジネス上で英語を使いこなせたのは驚きでした)

問題は、勤務先の言語環境です。
ベトナムでは英語学習が盛んに行われているため、英語話者を採用するのは容易です。支払うべき給与は、ベトナム語だけの社員に比べて2倍位のイメージですが、日本語話者は更にその2倍位の感覚です。
現地に進出する日系企業は、このコストと自社人材の言語能力を考慮して、日本語を公用語とするか、英語を公用語とするか選択することになります。

ITシステムインテグレータの仕事をしていた時に、ある顧客企業では英語が出来る方が社長だけで、それ以外の日本人は日本語以外出来ない状況でした。その会社のIT設備トラブルの際に私の会社の英語が出来るベトナム人エンジニアが訪問してトラブルへの対処が終わって、その説明をベトナム人顧客に行ったのですが、その内容を先方の日本語話者が日本人管理者に説明したものの、あなたの会社はきちんとした説明をしないと管理者から苦情を言われたことがありました。
詳細をヒアリングして行くと、顧客の日本語話者がITエンジニアの細かい説明を端折って日本人管理者に伝えていたためであることが分かりました。
その会社の場合、その事例以外でも多数の社内コミュニケーションの食い違いがあり、そのたびに我々が苦情を言われて閉口した経験があります。我々業者が絡む時以外でも多くのコミュニケーションミスが起きていることは想像に難くありません。

日本語しか出来ない日本人のみの環境の場合、日本語話者にはN1、最低でもN2以上のベトナム人社員を採用することをお勧めします。
同時に、せめて英語だけでも出来れば、コミュニケーションの幅が広がるので、やってみませんか、というのが本稿の趣旨です。

殆どの日本人は受験を含めて英語が必須であるため、読み書きの素養はあると思います。

問題は会話です。

英会話で必要になるのは、何をしたい、何がどうなった、といった動詞です。
実は、英語で頻繁に使われるの動詞は7-8個です。
その動詞が使われる場面、意味、方向のイメージが掴めると、英語の発話は容易に出来るようになります。そして、発話が出来ると、聞き取りが出来るようになるので、まずは発話のための動詞を掴んでしまいましょう、ということなんです。

最初に私が英語を使う必要に迫られたのが、ベンチャー企業時代に米国のサプライヤーとのシステムの仕様や設計に関するやりとりでした。
この時に出会った書籍が「英語はHaveだ」西村喜久(明日香出版)、「6つの動詞で英会話がペラペラ」西村喜久(扶桑社)などでした。

私の言う8つの動詞とは以下です。

have 方向は掌で受けるイメージ、食事を摂るもHaveです。Let’s have dinner tonight. などと使います。eatは、がつがつ食う感じ。What is your name?はGentleでないのでMay I have your name?という使い方をします。
使役動詞として、彼に何々をさせるhave him clean up the room など。
make  その場に止まっているイメージ。何かを作る、施す。I made a mistake.私がミスをしてしまいました。などど使います。
make me sad 私を悲しませるなどの使役動詞としても使います。
take  方向は「取って行く:取っtake」と覚えます。
つまり拾い上げて自分に向かうイメージ
Take a brake.休んでください。May we take a picture together?一緒に写真撮りません?といった感じです。
give  私からあなたや彼・彼女の方向へ与える。
get   相手から得る、自分に向かうイメージ。
go   行く。ある場所から離れるイメージ。
come  来る、と日本語では訳しますが、ある場所から、あなたの居る場所に「行く」という使い方をします。I will come to your office at 11AM today. という使い方です。
ここでgoを使うと、そこから離れて行く印象を与えて意味が通じなくなりますので注意。
put  置く。前置詞を伴ってput on the tableなどと使います。

これだけです。

これらの使い方が掴めて、ネイティブの発音で例文を聴いてそれを繰り返し口に付ける(口に体で覚えさせる)ことで、後は名詞や形容詞、副詞を組み替えれば発話が出来上がります。
口に体で覚えさせると、その単語のリスニングも同時に出来るようになります。

これがお役に立てれば幸いです。

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経営理念 成功する起業家に共通するものとは

ベトナムのホーチミンシティ(HCMC)時代に、縁あってSTONESOUP ASIAの代表の落合さんとお知り合いになり、2022年12月時点で既に141回を数えるストーンスープフォーラム(大隈塾勉強会)に何度か参加させて頂くことが出来ました。
多彩なゲストを招いて下さって、毎回大きな学びがあります。

成功する起業家の皆さんに共通するのは、

1.ミッションとビジョンが明確且つ魅力的で、

2.強烈なパッションを持つこと、

3.その人に惚れ込んだ支援者が現れ、

4.社員を仲間と考えて暖かく接している

ことではないかと思います。

1.AN’s spa経営者 Anさん

私にとって初回が2019年の講師、ベトナム人女性起業家Anさんで、ハノイ貿易大学輸入輸出学科を卒業後、人材紹介会社を起業。

日本で求人情報企業enに勤務後、ベトナムで再び進出支援企業(Eden Park)とAN’s spaを起業。

Spa事業は東洋医学を活用したマッサージとしてHCMCで人気を博し、2022年末時点で2店舗まで拡大しています。

中学2年の時にテレビでベトナムの貧困家庭で父母の作業の手伝いのために学校に行けない子供達を見て、困っている子供達をビジネスを通して助けたい、教師に依存せず勉強が出来るようにしたい、そのために事業で成功したいというのが起業の動機です。

ベトナム式指圧マッサージの業界団体を作るというビジョンを持ち、東洋医学の指圧・気功で30年の専門家を顧問に迎え社員教育の体制を整えました。
指圧マッサージの業界でトップ5に入ることを目標にし、社員にはフェイスブック広告で自社の強みを共有し、成功事例と未来を示すことで高いモチベーションを持てるようにしています。

2.COACER経営者 清水麗子さん

日本とベトナムで再生医療と新型エラスチンを核とする事業を展開する女性実業家清水麗子さんで

「弊社の幹細胞治療をはじめとする商品やサービスは、これからの日本の大きな課題である超高齢社会において、人々がいつまでも若々しく健康で活躍することをサポートすることができるものである。」という基本理念を持ちます。
もっとくだけた場面では「老化による不調をなくして笑顔にする仕事で、世界中に笑顔の友達を増やす」と表現されるミッションを掲げています。

3.Satisfill代表取締役社長の井上進太郎さん30歳

自社で運営するホテルはすでに国内15件。コロナの環境転換にあっても持ち前の機動力とアイデア力と推し通す力で事業を多角化、拡大させ成長、精神も磨かれたという進太郎さんが登場。

以下は、私が主催者に送ったお礼と感想メッセージです。
「マーケティング理論による市場把握と経営理念の落とし込み・チームビルディング手法が私の専門ですが、井上社長はそうした理論や手順を飛び越えて、困っている人のニーズを掴んで深堀して事業化する、社員への想いを苦境下でありながら賞与として形にするなどして、社員が自ら経営者の感覚で事業提案をして来る関係を築けている、その人間力に脱帽しました。

しかも事業創造の対象が、従来の業界の常識では存在しない分野であるにも関わらず、銀行や不動産企業を味方に付けながら実行して行く、関係者がWin Winとなる事業開拓モデルに、異次元の感性を持って居られることに、非常に大きな学びと刺激を受けました。このフォーラムの参加者の皆さんの意識とスキルの高さにも非常に感銘を受けました。大変有難うございました。」

4.ロボットベンチャーHelloRobot代表兼会計事務所代表の山谷健さん

時間の都合が付かず参加出来ませんでしたが、落合さんの紹介文で十分にそのエッセンスが伝わりますので、転載させて頂きました。

”ただただ青臭く経営を語る”シリーズの第5弾”の切り口は、とがった士業経営者です。
新卒で士業と言えば一生充実する安定したキャリアを念頭に学生時代からあれやこれやと思念して研鑽に研鑽を積んでしっかり先を見定めて~なんて思うかもしれません。
が、山谷さんはそんな箱に収まらない士業人なのであります。世界4大会計事務所を渡り歩きながら目にしたのは日本国の相対的な地位の低下。
こんなのではダメだ!
日本人の微に入り細に入り人にものに気に掛けることのできる特性を生かしたビジネスはやはりロボットである。それは全企業の99%を占める中小企業が支える日本を復興する数少ない次に一手なのであると語るのです。
こんな熱すぎててワクワクする話を冷静に語る姿に切れ者士業人の面影を感じるのです!
ご期待ください!
ー引用終わりー

これら新進気鋭の企業家の皆さんに対して、私が過去に勤務した大企業の企業理念を対置してみたいと思います。

5.JX金属グループ理念(転載)(旧日本鉱業)

私たちは、非鉄資源と素材を安定的に供給することが社会的使命であるとの認識のもと、鉱物の探査・採掘・製錬から金属加工・電子材料製品までの生産・販売・開発等事業活動のあらゆる面において、次の行動規範に従って、技術的合理性、効率性、品質・特性の向上等を追求する一方、ゼロエミッションを目指したリサイクルを促進することにより、資源と素材の生産性の革新に継続して取り組みます。
併せて、お客様、地域社会をはじめとする様々なステークホルダーとの共生関係を維持・向上いたします。そして、これらを通じて、私たちは、地球規模で社会の持続可能な発展に貢献してまいります。
ー引用終わりー

以下は私のプロフィールで記載した内容ですが、ここに引用させて頂きます。

ープロフィールから引用ー
この会社は日立鉱山が源流で、その鉱山で構内車両を提供していた部門が後の日産自動車になり、構内エレベータの上げ下げをするモーターを提供していた部門が、後の日立製作所になっています。

新田次郎の「ある町の高い煙突」という小説は、この会社の銅精錬所の排煙が亜硫酸ガスをまき散らして、近隣農家に甚大な被害を与えていたため、ある高さの気層を超えて排煙すれば、拡散して近隣農家の被害を防ぐことが出来ることから、会社が155m余りの高い煙突を立てた実話を基にしています。現在は亜硫酸ガスは脱硫工程を通って硫酸として回収されるため、排気は非常に綺麗になっています。

この精錬工場からの排水は近くの川に流されていますが、それが綺麗であることを示すため、工場入口のロータリーの池で、排水の中でコイを飼っていました。企業の公害対策の草分けで、この企業が持つ企業理念がそこに現れています。

先の大煙突は1915年に立てられ、私がたまたまその工場で勤務していた1993年に1/3を残して倒壊しました。倒壊する際には、人が入らないエリアに倒れるよう設計されていて、実際に全く被害はありませんでした。

この話を聞いて、エンジニアの志の高さを知って、私は人知れず感動の涙を流していました。
ープロフィール引用終わりー

社員が共感して感動する企業理念がここにもある、と言えるのではないでしょうか。

6.バッファロー(社名はメルコ)企業理念(引用)

メルコバリュー
グループ全体で共有し実践することで永続的な成長を目指してまいります。

千年企業
私たちは、先人の教えを真摯に学び、活用し、常に未来を見据え、メルコバリューを共有する全ての人たちとともに、メルコグループの永続的な成長を目指します。

顧客志向
私たちは、常にお客様の視点に立ち、より良い社会生活の実現に資する商品・ サービスを提供し続け、私たちの智恵と努力が社会の発展に寄与することを喜びとします。

変化即動
私たちは、世の中の変化に目をそむけず、誤りに気付いた時は引き返す勇気を持ち、常に自己研鑽に励み、自己変革を目指して行動します。

一致団結
私たちは、フェアーアンドオープンの精神で、高い志と情熱を共有する人たちと共に、いかなる困難をも乗り越え、一丸となって目標を達成します。

コーポレート・ステートメント
つなぐ技術で、あなたに喜びを
私たちはこれまでも「IT時代におけるお客様の利便性向上」を使命とし、使いやすさと快適さを感じていただける商品及びサービスの提供を行ってまいりました。

そしてこれからは、誰もが簡単にそして安心してインターネットに接続でき、より安全で快適にデジタルデータを保存・再生できる喜びを提供していきます。

これらの事業活動を通して、理念を共有するすべてのステークホルダーの幸せを実現していきます。
ー引用終わりー

徹底した顧客利便性を追求する姿勢がこの企業理念に表れています。
PC周辺機器は、あらゆる機器との接続性が確保されていることで、顧客は接続するだけで使えるという利便性を享受出来ます。
同社はそれを実現するために、市場に出す前に人知れず膨大な接続検証を行っているのです。

更にパナソニック出身役員の教えとして、仕入先の尊重・仕入先との共生があります。
私が所属した海外事業部門では、毎月6ヶ月分の販売見通しをまとめ、これを毎月更新して、発注長期計画を仕入先に提示していました。
カンバン方式のように、自社は部品在庫を持たず、納入業者が顧客需要に応じて即納する体制をとることで、自社の資金繰りと納期短縮に寄与することが出来ますが、ともすると納入業者に在庫を抱える負担を転嫁することになります。
松下幸之助さんの教えは、仕入先をパートナーとして捉え、共に繁栄することを旨とします。それがパナソニック購買の支払条件にも現れていて、ベンチャー企業時代にパナソニックとの取引口座を開けた時には社内が大喜びだったことを思い出します。他の大手企業と異なり、支払期日が短いため、中小企業は資金繰りで大いに助けられます。販売する側から見て、こうした顧客に出来るだけ貢献しようと務め、惹きつけられるのは当然なのです。

ここに見る企業理念も顧客とパートナーを魅了し、社員の意欲を喚起するものになっているのではないでしょうか。

企業理念は立派だけれども、それは広告宣伝の一環であり、企業の実際の行動実態は理念にはほど遠い事例が世の中には溢れています。
「良品廉価」「顧客本位」という企業理念のもと、高品質で安全な製品づくりを行うとする食品メーカーが発がん性添加物を大量に使用しまくっている、といったことが悪しき例の典型です。実情を知る従業員は決して共感・感動によって自律的に行動することは無いでしょう。

経営者の真情から語られる誠の経営理念のみが、顧客と社員・パートナーを惹き付け、大きな力を生んでいくのだと思います。

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ベトナムの企業社会の共通性と特殊性について

ベトナムの南北問題については、別稿で述べさせて頂きましたが、

本稿ではベトナム社会の日本との共通性と特殊性について述べさせて頂きます。

1.賄賂社会:行政と企業の関係

アジア、東南アジア諸国で最もベトナムを特徴付けるのが賄賂社会の問題です。

公務員は最低賃金レベルの給与しか与えられない反面、給与に釣り合わない家屋や車のような資産を持つことがしばしば指摘されます。

税務監査、消防監査といった行政上の監査が行われ、その行政官庁の承認が企業経営を継続する上で必須となる場合、しばしば理不尽な不適合判断が下され、それを適合として貰うために袖の下を提供するというのがベトナムでは良く聞く話です。

日系企業の場合、本社側のコンプライアンス準拠指導が徹底して行われている企業の場合は、そうした対応は一切行われない、という事実も一方にはありますが、行政との関係を円滑化するために対応している企業もあるようです。

税務監査での実例ですが、監査員の指摘が余りに理不尽であったため、日系企業から監査者の上席者に問題を指摘したことで、理不尽な指摘が取り下げられた事例があります。

 

2.企業間取引における賄賂

もう一方、企業のベトナム人購買責任者や経営層までもが、賄賂を要求する、ないしは賄賂を提供するベンダーを選定する、ということがしばしば聞こえて来ます。

民間企業でこうしたことが起きると、購買側企業は本来最適ではない商品を購入することになるわけで、購買する企業にとって損失です。

私が最後に勤務した大手システムインテグレータは、コンプライアンス上、こうした顧客の要求に応じることは一切なく、純粋に技術で勝負をしていました。

 

現在の賄賂社会体質が改められるのが何時になるかは予測できませんが、これが健全な経済成長を阻んでいることは間違いないため、いずれは是正されると思います。

是正される際には、それまでの収受の事実が明るみに出て、贈賄側も咎めを受ける、ないしは社会的信用を失うリスクがあることを考えると、コンプライアンスを厳密に守るべきと考えます。

 

3.ベトナム人の共通性

そうした中で、ベトナム人、ビジネスパーソンの人間性・清廉性、仕事に取り組む姿勢はどうか、という点では日本人と何ら変わりがないというのが私の認識です。

教育の在り方によるものと思われるの、思考の柔軟性にやや欠けるというのは、しばしば指摘されるところではあるものの、元々勤勉で、器用で、教育レベルも高いという点では日本と同等と言って良いと思います。

何より重要なのは、次の経営層候補として企業の社会的意義、理念に共鳴して率先して困難な仕事を引き受けて乗り越えて行く志の高い人材に私は何人も出会っているということです。

ある大手日系企業の経営層の方が言われていたのは、ベトナム人に対して否定的な評価をする人は、自分自身がベトナム人とどう接して来たか、そこに問題が無いかを問うべきだということですが、私も彼の見解を支持します。

ただ、企業内で幹部として登用して行く中で、先に述べた賄賂体質が現れて来る人材も居るため、人材の見極めとコンプライアンスを含めた企業理念を浸透させることを怠ってはいけません。こうした罠が最後に待っているのがベトナムである、ということは肝に銘じる必要があります。

 

もう一つ、ITシステムインテグレータの仕事の際に感じたのは、

ベトナム都市部ではソフトウエア開発を中心にしてITエンジニアの需要が高く、給与レベルも高いのですが、各企業のIT担当として採用される人材は給与レベルも月並みで必ずしもITインフラに精通していません。

そうした場合、ITの分からない日本人管理職が、そのベトナム人の言いなりになって適切な判断を下せない、日系ITシステムインテグレータが入って適正な提案をしていく中で、それら中途半端なIT担当を説得するのに一苦労するという場面が多く見られました。

IT担当を下手に置かないで、信頼できるITシステムインテグレータの保守サービスを受けるのが最善です、という提案はITシステムインテグレータの立場を離れた今でも適正であると感じています。

 

一方、大手企業は本格的なスキルを持つ現地人IT担当を採用していますが、そこでも先に挙げた賄賂問題が起きていて、企業理念・コンプライアンスを浸透させることの重要性を痛感します。

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私が何故ベトナム企業を退職したか

私のベトナム企業での体験が、ベトナムで経営層として活躍されている方々、及び一般的に企業経営の在り方を考える上でご参考になると考え、本稿のテーマとさせて頂きます。

1.ベトナム現地企業での副社長としての勤務

ハノイに本社のある150名ほどのベトナム現地企業、ITシステムインテグレータで、ホーチミンシティ(HCMC)拠点の日系企業向け営業管理職として採用頂く機会を得ました。
2か月の試用期間明けに副社長就任の辞令を頂き、営業活動だけでなく、組織体制の整備にも力を注ぎました。

管理職が部下の仕事のミスについて責任を感じていない、管理職自身がプレイヤーとして実績を上げることが使命となっていて、部下を育成しながらチームとして力を付けて行く、という姿勢が、営業部門でも技術部門でも欠落していて、その点を自身の支店で改めながら顧客開拓を進めていました。

そうした中で、HCMCの営業担当が自分が顧客と密接に連携しながらITシステムの仕様決めを主導し、顧客から入札案内が届いて、ハノイ本社のエンジニアに設計・見積を依頼したところ、その部門が見積内容を先にハノイの営業に渡したため、その案件をハノイ営業が受注することになった、という事件が起きました。
ハノイの設計部門は更にHCMCに出す見積価格を1割近く高く設定していたことも後で判明しました。

ベトナムの場合、南北問題が非常に根強い問題としてあり、これはその一端を表していると言えます。

2.ベトナム戦争後のベトナムの歴史

ここで、ベトナム戦争後の同国の歴史をご説明します。
(JCCH 正式認可20周年 記念講演 2018年9月24日「ホーチミン市:過去・現在・未来  日本人はどう貢献できるか?」早稲田大学 坪井善明教授 から私が取ったメモの抜粋)

ベトナム戦争は米国配下のサイゴン(現HCMC)を首都とする南ベトナムとハノイ拠点の北ベトナムの戦争であり、1975年のサイゴン陥落は北ベトナムが米国に勝ったと同時に同じ民族の南ベトナムに勝った戦いでした。
その後、人々がボートピープルとなって米国やカナダ、フランスに逃れたのは、北側の弾圧を恐れたためです。
実際に1990年代までは北部から大学教授、公務員が送り込まれ、旧公務員子弟は大学に行けない等冷遇されるほか、旧政府関係者は再教育キャンプに送り込まれるといったことが行われました。
しかし、社会主義の強制はうまくいかず、1986年にはドイモイ政策、経済重視政策が取られ、サイゴンは復活します。ベトナムは1990年代後半は生活を安定させる必要に迫られたのです。

鄧小平がまず生活の安定に取り組んでから政治に力点を移していったように
ベトナムも共産党一党支配の中で、まずは経済を重視せざるを得なませんでした。
世界の経済、プラグマティックな経済、資本主義が分かっている人材を首相に据えたのです。
1991年から25年間、首相は連続して南部出身でした。

1990年代後半から越僑が戻り始めました。規制緩和、国籍取得の平易化が為されます。エンジニア、医者、歯科医がまず戻りました。
ボートピープルの子供は教育で成功し、戻ってきたのです。

21世紀になって本格的な越僑の投資が活発化しました。(旺盛な祖国送金 年100億ドル以上)
昔は5-6倍と言われたハノイとの経済格差は現在10倍ほどに広がったと言われます。
海外からの直接投資の120億ドルのうち100億ドルが越僑からと言われ、その7割が南部への投資です。

欧米ネットワークの投資が向かうのが南部です。
北部は日本、韓国、中国の投資で回っているのに対し、南部は欧米のお金で回っています。

2010年代、好景気で越僑と本国のベトナム人留学経験者との協力関係が強化されます。
・SNSの発達で世界情勢が即時に入手できる
・米国系や仏国系越僑と新興財閥の技術・資本提携
2010年代から10万人単位でオーストラリア、カナダへベトナム人が移住、
100億ドルの3割を持って来ていると言われています。

南の経済発展が加速し、北部は追いつけずにいます。
ハノイは米国系越僑を警戒して寄せ付けない背景があります。

南は共産党への不信感が強い中、
中国がこれだけ政治的にも経済的にも大きくなっている上では、
ベトナムが独立を維持するにはHCMの9300万人と300から400万人の越僑と共闘しないといけない、という事情があります。

ーメモ引用終わりー

端的に、経済を支えていることを自認する南ベトナム人と戦争の勝者としての北ベトナム人という構図の中で、ハノイ企業がHCMCで取る行動は極めて南部の社員に対して差別的になるというのがこの事件の背景です。

この問題に対して社長は、苦情を言ったHCMCの担当を非難した上で、この問題の是正に動くことはありませんでした。
南北問題がどうあれ、同じ企業の社員を公平に扱うのが、一つの企業として事業を行う上では必須なのですが、そうした正論が全く通用しませんでした。

そのほか、日系パートナー企業が持ち込んだ案件のユーザーについて、その後のフォローが無い場合は、無断でそのユーザーにアクセスして当初の商流を無視するということが頻繁に行われ、日系パートナー企業の信頼を失って行きます。
こうしたことに意見をしても聞く耳を持たない社長の元で働くことは出来ないため、私はこの会社を去りました。
このような指導者の居る会社を社員達は選びません。
自分達が社員を選ぶのと同時に、社員から選ばれる経営者でなくてはなりません。
その後、HCMCの部下達も次々と退職し、最終的にはHCMC支店はハノイメンバーが出張する際の拠点の位置づけになっていったようです。

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組織活性化の取り組み 経営者の基本精神と組織整備・マネージャー育成

組織活性化の取り組みについては、これまでの経歴のあらゆる経験・学びが伏線となって、一つの体系的考え方、実践となって結実しました。

日本鉱業での学び、バッファロー時代のパナソニック出身役員による幹部育成研修での教え、ベトナム現地法人での取締役総務人部長としての自身を含めた管理職育成の取り組みなど、幾つかの経験が重なることで、あるべき姿が見えて来ました。

結論は、

経営者・管理職が他者への愛をその精神の基底に持ち、社会に貢献する企業の使命を企業理念とし、高位に立つ者としての矜持を持つことが組織運営の根幹であり、起点であるということです。

それを経営層からマネージャーへ、マネージャーから社員に落とし込んで行くことで、その使命への共感に裏付けられた自律的組織が形作られます。

そして、企業の使命を現実化するためのビジョン(将来構想)、ゴール(いつまでに何を成し遂げるか)が、リアリティ(実現性)のある戦略の上で定められ、それを含めて落とし込まれて初めて個々人の共感と意欲に支えられた強靭な組織になって行きます。従来の組織論には、この部分が決定的に欠落しています。この戦略・ビジョン・ゴール策定にはマーケティング分析・戦略が必要になるのですが、その説明は別項で行います。

私の考える「組織活性化のあるべき取り組み」を形作った経験は以下になります。

①ジャパンエナジー(日本鉱業)時代の学び

 ・経営層が社員のモラル向上運動を行い始めたが、真の社員教育は経営者が高位にある者の矜持を持つこと、失敗に対して潔く責任を取ることによって為されるのであって、モラル向上の矛先は経営層であると感じたこと

 ・品質管理エキスパート(技師長の職名だった)の存在は職能等級制度の有用性を表していた。部下を持たないが専門職として高い技能を持つ方々が企業の技術力を支え、技術標準化会議などで社を代表する存在となっていた。

②バッファロー時代のパナソニック出身役員による幹部育成研修での教え

 ・高い地位にある者の矜持

 ・社員に選ばれる会社、管理者であるべき

 ・マネージャーの役割はプロセスの変革である

 

③ベトナム現地法人での取り組み

 ・ホンダ現地法人に学ぶ企業理念落・品質管理方針の落とし込み、

   マネージャー育成とチームビルディング

会社は私の着任1-2年前に、日本人マネージャー育成のためのセミナープログラムを導入していました。ホンダベトナム出身者が独立してセミナー活動を行っていたもので、大手企業が現地法人を経営する際に日本人マネージャーに求められるマインド、企業理念を落とし込み、部下の管理・育成の在り方を指導する内容は、自身を律する上で非常に重要な学びとなりました。そのレジュメを自身を含めて日本人管理職同志で学ぶ機会を設け、自身の行動を改める契機にして行きました。

※ホンダはベトナムでのバイク市場のシェアが8割と、バイクのことをベトナム人が「ホンダ」と称するほど、圧倒的な地位を確立しています。

これは隣国のカンボジアでも同様でした。進出に際して市場独占の鍵を握る中古市場での転売可能性、修理・保全のための部品供給体制をいち早く確立することが定番施策となっていて、

それと合わせて現地法人運営にあたって日本人マネージャーの育成に力を入れて現地で確固たる地位を確立しているのだと思います。

 

その他の組織体制整備等の取り組みは以下になりますが、どれもが欠くことの出来ないテーマです。

 ・業務分掌規定、職務記述書+工数算定 等の組織基盤整備

部署間の役割分担、各人の職務範囲・使命を明文化しておく必要があります。

 ・人事制度設計:職能等級制度と役職制度の組み合わせ

役職制度一本しかないと、役職の乱発、役職者への信頼低下を招きやすいです。

部下を持つ管理職に適さないけれども専門性で企業に必要な人材に適正な給与と名誉を付与する職能等級制度が生きて来ます。

 ・退職社員抑制:社員の幸福度向上、退職抑制が生産性の維持に繋がる

退職者を補充して一人前に育てるには、採用費用だけでなく教育に要する時間が必要なほか、本来の生産性に達するまでに数か月を要する場合があり、コスト・生産性の面で退職者を新人で補うのはマイナスになります。

 ・カイゼン活動・QC、ISO:

   何故日本人にしかカイゼン活動が出来ないのか:日本の根源的な思想

   カイゼン活動・QC、ISOについては、各々別項で取り上げます。

④数々の反面教師達

ベトナムをはじめとした海外現地法人、外国企業での勤務での幾つかの反面教師を列記します。記事を読まれる方が、自身がこのような状態に陥っていないかを顧みる上でお役に立つと思います。

・社員はカネと恐怖で動くという根本的に誤った考え方で、次々と飴と鞭の施策を繰り出すも、一向にマネジメント層も社員も育たない、というのが典型的事例です。

 人事の専門家は理解していると思いますが、人々が働く会社を選択する基準は給料の高さがトップではなく、そこでの遣り甲斐、自己実現の可能性が最大の動機です。そこに、ノルマを達成したら褒章を与え、達成しないと減給・降格するといったやり方では、自発性を引き出すことはおろか、人を惹き付けることが出来ません。

・現地人社員に対しては気を遣うが、日本人社員に対してはパワハラ三昧の日本人経営者

現地人の尊敬を集めようと努力するものの、日本人マネージャーに対しては、日本企業に根付いてしまった悪しき慣習である、上の者は下に対してどんな横暴な発言も許されるという発想が日系現地法人で頻繁に見られます。これでは、要となる日本人マネージャーを育てることが出来ず、自発性を引き出すことは出来ません。

・経営者が現地人の尊敬を集めようと部下の役員層を飛び越えて「有難いお話」、リーダーシップ論を現地人マネージャーの退勤後の時間を使って施す。

経営者の名誉欲が組織を壊して行くだけでなく、このような動機に基づく講話は、言行不一致(立派な事を言いながら自身はそれを実行出来ていない)に気付かず、日本人マネージャーからの信頼を悉く失って行った事例があります。

 他にも幾つもの事例がありますが、ベトナムに関する項で詳しく説明します。

⑤自身が到達した経営者のあるべき姿:

 ・他者への愛が全てである

 ・経営者の役割は「経営」である。企業の将来像を形成するための営みである。

  日常のオペレーションはNo2以下の仕事。

  No2で得られる人材が最も重要、それが日本人であるか、現地人であるかに関わらない。このポジションの人材獲得・育成に、最大限の情熱を注ぐべき。そこが核になってマネージャー育成・人材発掘・登用を行うことで、モラルの高い人材・組織が育つ。

これらの理念から実務までを「中小企業経営者のための法人営業の教科書 マーケティング思考の営業戦略と自律的組織運営」にまとめ、Webセミナーを提供しています。

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システム化の本質

システム化の本質

私が唱える3ステップ経営改革は、法人営業・事業企画のエキスパートとしての経験と総務人事役員経験が基となっていますが、私が得た特異なスキルがそれらの経験を支えています。

それがシステム開発の経験で、それを通してシステム化するとは何か、その本質は何か、という根本思想に基づくシステム化・経営革新の他、実務面で業務の流れを俯瞰し見える化し業務効率の向上を図ることが出来ました。

何故、何も知らない新入社員の私が基幹システムプロジェクトに選ばれたのか

新卒で入社した際、私は電子材料事業部門の営業職として配属されたのですが、通常であれば特定の製品を担当する営業課に配属になるべきところ、管理室という経理・企画部門に配属となりました。実はこの当時、所属事業部ともう一つ、会社の大黒柱となっている大事業部が共同で営業情報システム開発を行うプロジェクトが立ち上がり、新入社員の私がそのメンバーの一人に選ばれたのです。

プロジェクトは非常に人望のある大事業部の管理部門長をトップに、電子材料事業部の営業課長がリーダーとなり、大事業部の経理エキスパート、システム管理マネージャーに営業担当者としての私が事業部側、つまり発注者側の業務設計メンバーとなり、情報システム部の課長が多数の開発メンバーを束ねるために加わるという構成でした。

私にとっては非常に名誉であり且つエキサイティングなことでしたが、私のように何も営業実務を経験していない者がそのような重要なプロジェクトメンバーであって良いのだろうかというのが率直な不安、疑問でした。

初期のミーティングで率直にこの疑問をトップにぶつけたところ、非常に驚くべき答えが返って来ました。

「何にも知らないからこそ君をメンバーに入れたんだ。余計な雑念の無い者が、この業務はどうあるべきかの理想形を描くことが出来る。仕事の始まりから終わりまで、あるべき姿を業務フローにして一筆書きで描いてごらん。

これまでのシステム開発は、情報システム部門が主体になって膨大な時間をかけて現状調査をつぶさに行って、その現状をシステムに置き換えるということが常態化していた。そのために、多数の不要な業務がシステムに置き換えられ、全体像が見えない業務の効率化からほど遠い結果を生んできた。

システム化するとは、業務を体系化することである。誰が見ても仕事の本筋が容易に理解出来るものにすることだ。

そのツールとしてコンピュータシステムを導入することで、一気に効率を上げることが出来る。

今回の開発では、君があるべき姿の業務フローを描いてごらん。一筆書きのような業務フローになるはずだ。その本流に、どうしてもすくい切れない例外を位置づけてごらん。それがプロジェクトで確定出来たら、それを各現場に持って行って、今の仕事をこのように置き換えることが現実的に出来るかを聞いて回ってごらん。

そうすれば、本質を見失わずに短時間で、実現性の検証が出来るはずだ。」

この衝撃的な答えに私は一気に魅了されました。この考えが、その後の人生でシステム化を考察する際、業務効率化を図る際の私の根本理念となりました。

そしてこの方針に則って私は自分のミッションを果たして行きます。

生産から倉庫への入出庫報告、受注から出荷、債権回収までの業務が全て一気通貫のシステムによって体系化されました。

私が描いた業務フローは、会議室を一往復する長さの、まさに一筆書きとなりました。

どんなメジャーなシステムにも無い画期的な「〇〇未報告」画面

システムには、経理エキスパートの発案で各業務フェーズでの「〇〇未報告」画面が設けられました。一度受注報告が入れば、債権回収が完了するまで、システム上、どの段階がクリア出来ていないか、残るタスクが何かが、一目瞭然で分かります。

システム稼働後、アシスタントの女性社員達に最も好評だったのはこの画面です。彼女達は、毎朝この画面を立ち上げ、今日のやるべきことを一目で把握することが出来、仕事の漏れは一切起きません。

後年になって世界を制覇したSAPシステムやセールスフォースドットコムなどを使用する機会がありましたが、このような便利で本質的な機能を持ったシステムには出会ったことがありません。もし、システム企画をする方がこのブログをご覧頂く機会があれば、この情報は値千金ではないかと思います。

システム開発の王道であるコード設計と取引先概念の定義

合わせて、システム開発の王道である、製品及び取引先コード設計が3階層で緻密になされて行きます。取引先には大きく分けて3つの属性があり、販売先(お金を貰う先)、仕向先(実際の製品利用者)、納入先がそれです。その組み合わせを決済条件マスターに予め登録し、その組み合わせにある受注登録しか出来ないようにして管理します。

仕向先(製品利用者)毎の予算実績管理が営業の本質

販売先と製品利用者が同一である場合、販売先と製品利用者が異なる場合がありますが、この設計と運用によって、入金管理と実利用者への販売実績管理が当たり前に行えます。

商社毎の販売実績、実利用者への販売実績を製品群毎に把握することは非常に容易に出来ます。

システム設計と営業管理の両方の基本が欠落したメジャーシステム

近年世界で最も高いシェアを獲得しているセールスフォースドットコムを使用した経験がありますが、このシステムでは販売先としての属性を個別の取引先マスターに入れ込んで行くのですが、実運用上は実行不能でした。そのため、販売先単位での実績、仕向先単位での実績を把握することがシステム上では不可能で、且つこのシステムでは最も法人営業で必要な、取引先毎の予算実績管理の機能が無く、この不足を補うためにダウンロードデータのエクセルと毎週格闘する必要があって非常に閉口しました。

この会社はシステム開発の素地、及び法人営業の本質的経験の無いところで、ユーザインターフェイスのビジュアル化と広告で顧客を獲得して行ったことが窺われます。

情報システム部門の限界

先ほどの自社システム開発では、各関係部署での新業務フロー検証のヒアリングは順調に進んで、私が描いた業務フローが各部署で問題なく適用出来ることが確認出来、プログラム開発をいよいよ進めようという段階で、ある工場の情報システム部門が、このやり方では実現性に不安があると言いだしました。この段階で私の尊敬するプロジェクトトップが他部署へ異動となっていたため、プロジェクトは一旦彼等の言い分を受け入れて、彼等が考える方法で実現性検証をやって貰うことにしました。

結果として、プロジェクトが半年遅延することとはなりましたが、我々の描いたフローが彼等から見ても適用可能との結論に達し、開発が進められました。

この間に、本社情報システム部門は、2か所の大工場、数か所の倉庫については、所謂分散処理をするのが望ましいとの判断から、個別のコンピュータを配置する構成とすることを決定します。プロジェクトの一員として、その会議で私は分散処理に大反対しました。同じシステムフローでありながら、本社と工場と倉庫各々コンピュータの機種が違うため、開発に膨大な工数がかかる上に、一つのシステム変更が起きると3つのプログラム開発が必要となる不効率、更に本質的には、どこかの事業所のコンピュータが止まった場合、システム全体としては機能しなくなるため、このような分散処理はシステム上のリスクが高すぎる、

それを回避するためには、本社コンピュータ一本で集中処理を行い、それを二重化すべきだと強く主張したのですが、あいつを情報システム会議に出させるな、という話になって、彼等は分散処理を取ることを決めてしまいました。

H工場で生産された製品がK倉庫に転送され在庫されたりしますが、K倉庫のコンピュータが止まった場合、システム全体として見た場合、正しい在庫を把握することが出来なくなる訳で、場所を分散するだけのシステムは本質的に何のリスクヘッジにもなっていません。

自社開発システムの成功とその後のキャリアへの寄与

これらのように旧来の情報システム部門的な考え方が、本質から外れていると言わざるを得ない部分が多々あるものの、

プロジェクトは開発を終え、私は厚さ3㎝ほどの全体像と個別操作はこれ一冊で分かるA4版マニュアルを作成し全個所に配布して、従来業務を新システムに成功裏に移行することが出来ました。

ここでの経験が、その後のキャリアにおいて、

課員12人の業務を業務フローで見える化して、業務の重複を排除し、6人を本来の業務責任部署に戻すことで6人のチームにスリム化したり、

生産管理システムの導入を行ったり、

システムインテグレータとしては安易な分散システムを1か所に集中した上で二重化するのが本質的ソリューションである、といった提案をする際に活かすことが出来た他

業務フロー化することで、作業手順書をビジュアルにして分かりやすくして社内の標準化を図ったり、改善点の協議を行う際に役立てることが出来ました。

 

本稿のまとめ:

システム化の本質は体系化である、

システム化を行う際の手順はまず理想形を一筆書きの業務フローで描き、それの実現性を検証する方法が最も本質から逸れずに効率化が出来る、

業務フローによる見える化を図ることで、標準化・共通認識形成が実現出来る

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組織活性化の取り組み ISO認証を起点とした経営管理PDCA

組織活性化の一つの参考事例として、

千人規模の日系企業ベトナム現地法人における、組織活性化の取り組みについて、何をどのように行ったかをご説明します。

もともとの私のミッションは、製造業の現地法人に日本的経営思想を浸透させることで、
大きくは二つの事項がありました。
1.ISO認証を起点とした経営管理PDCA
2.管理職育成とチームビルディング

ここでは最初のテーマについてご説明します。

1.ISO認証を起点とした経営管理PDCA

(1)ISOと日本の品質管理

ISOというのは、英国起源の品質管理標準で、この認証を取得していることで一定以上の品質管理が行われていることが証明され、企業が仕入先企業を選定するにあたり、この認証取得を条件とする形で自社の品質管理を徹底する、顧客に対して自社のISO適合性を示すことが世界的に行われるようになったものです。

本来、品質管理は日本のお家芸であり、高度成長時代に日本製品のクオリティの高さが世界中で認められたのは、その活動によるものです。
デミング賞を設ける等の動きは行っていたものの、ISOのような形で取引先選定の基準にまで高め、それが連関する仕組みを作るところまでには至っていませんでした。
その仕組みを欧州が先んじて世界標準にしたもので、こうした仕組みづくりの巧妙さで見事に先を越されてしまった感があります。

従って、日本の製造業にとってISO認証取得は、従来当たり前に行ってきた標準化と品質管理・改善活動であって、特別なものではありません。
私の最初の勤務先はまさにそうした日本の製造業の典型的な存在で、社内に品質管理を指導する技術系エキスパートが居て各事業所を指導していました。私自身も管理部門在籍期間中に、そうした方々の指導を受ける幸運に恵まれたことと、各地の工場では若い現場の社員達が、先輩達に暖かく支えられながら緊張した面持ちでカイゼン活動の発表を行う微笑ましい姿を当たり前に見て来ました。

(2)作業手順書からISO認証取得まで

これに対して、私が着任した当時の現地法人は、作業手順書が無く、体系化された品質管理が行われていない状態でした。
ISO認証は、高品質・高付加価値製品の顧客である日本や韓国の企業との取引を行う上で必須であり、早急に正式な認証を取得する必要がありました。
私は取締役総務人事部長と同時にISO管理責任者に任ぜられ、1年で認証を取得する目標を立て、実行して行きました。

作業手順書を各現場で作ることが第一歩で、最初は殆どの現場従業員がPCを触ったことが無い、エクセルやワードの使い方が分からない状態を脱するため、総務人事部メンバーが総出でPC教室を開いて指導にあたりました。
製造現場だけでなく管理部門を含めた作業手順書のひな形を業務フロー形式で私が作成し、これを各部署で埋めて貰う作業を始めました。
製造現場の作業は複数の関連部署にまたがることが多いため、縦軸に時間の流れに沿った作業項目、横軸に部署名、管理基準、準拠規定欄を設けた業務フロー形式とし、その手順書を見ただけで作業方法と基準が全て分かるよう、写真・図表を駆使して行きました。
ISO管理責任者の他に、品質管理部の課長、専任担当が、作業の主導とスケジュール管理を行った結果、作業手順書が全部署で整えられ、各工程・作業で基準とするドキュメントも整えられて行きました。作業手順が変更になる場合は、真っ先に作業手順書が正式更新される段取りも定着して行きました。

ISO認証機関には様々なタイプ、レベルの法人があり、我々はその中でも最も厳しいとされる英国の認証機関を選定しました。
認証を取ることが目的ではなく、真に実質的に品質管理レベルを上げることが目的であったためです。
ISO認証取得は目標の一つではありましたが、あくまでそれは品質管理レベルを上げ、日々の活動をそれに準拠することで企業そのもののクオリティを上げることが本質的な目標でした。

企業そのもののクオリティを上げる活動の典型的なものは、毎月行う全部署の管理項目に対してPDCAを回すことで、認証取得にあたり、この月次管理表をISO管理責任者名で総括して社長に報告することを定常化して行きました。

作業標準が出来て、月次管理がこのような形で行われていると、毎年のISO認証に際しては、日々、毎月当たり前に行っている管理資料を提示する必要があるだけで、ISO認証の準備のために毎年特別な作業を行う必要は無くなります。

実は初回の認証のための評価を受ける際、その二か月前の段階で認証機関担当者からは、認証取得は無理だと言われていたのですが、こうした取組を最後の最後まで続け本番に臨みました。
監査の結果は、幾つかの不適合事項を指摘されながらも、その改善を所定の期間内に完了すれば認証が得られるところまで漕ぎつけ、見事それらの課題を期間内に解決し1年で認証を取るという目標を達することが出来たのです。

この1年間でのISO担当者達、従業員達の集中力、スキルの向上には目を見張るものがありました。
本当の意味での本番は、顧客である日本企業の品質責任者の監査で合格することでしたが、
1年前はPCを使ったことが無い、エクセルの使い方が分からないと言っていた現場の課長が、でかでかと各工程にカラー印刷で貼り出された作業手順書を指して、我々は全ての作業をこの作業手順書に基づいて実施していますと、堂々と語る姿を見て私は胸にこみ上げてくるものを抑えるのに必死でした。
見事、我々はその最大顧客から合格の判定を頂くことが出来たのです。

まとめ
1.ISO認証取得はそれ自体が目的でなく、企業クオリティを上げるためのツールである
2.月次管理を行うことが本質で、それによってISOが求める管理実体を作ることができる

次の記事で、その現地法人での管理職育成と組織活性化の取り組みについてご説明します。

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