組織活性化の取り組み 経営者の基本精神と組織整備・マネージャー育成

組織活性化の取り組みについては、これまでの経歴のあらゆる経験・学びが伏線となって、一つの体系的考え方、実践となって結実しました。

日本鉱業での学び、バッファロー時代のパナソニック出身役員による幹部育成研修での教え、ベトナム現地法人での取締役総務人部長としての自身を含めた管理職育成の取り組みなど、幾つかの経験が重なることで、あるべき姿が見えて来ました。

結論は、

経営者・管理職が他者への愛をその精神の基底に持ち、社会に貢献する企業の使命を企業理念とし、高位に立つ者としての矜持を持つことが組織運営の根幹であり、起点であるということです。

それを経営層からマネージャーへ、マネージャーから社員に落とし込んで行くことで、その使命への共感に裏付けられた自律的組織が形作られます。

そして、企業の使命を現実化するためのビジョン(将来構想)、ゴール(いつまでに何を成し遂げるか)が、リアリティ(実現性)のある戦略の上で定められ、それを含めて落とし込まれて初めて個々人の共感と意欲に支えられた強靭な組織になって行きます。従来の組織論には、この部分が決定的に欠落しています。この戦略・ビジョン・ゴール策定にはマーケティング分析・戦略が必要になるのですが、その説明は別項で行います。

私の考える「組織活性化のあるべき取り組み」を形作った経験は以下になります。

①ジャパンエナジー(日本鉱業)時代の学び

 ・経営層が社員のモラル向上運動を行い始めたが、真の社員教育は経営者が高位にある者の矜持を持つこと、失敗に対して潔く責任を取ることによって為されるのであって、モラル向上の矛先は経営層であると感じたこと

 ・品質管理エキスパート(技師長の職名だった)の存在は職能等級制度の有用性を表していた。部下を持たないが専門職として高い技能を持つ方々が企業の技術力を支え、技術標準化会議などで社を代表する存在となっていた。

②バッファロー時代のパナソニック出身役員による幹部育成研修での教え

 ・高い地位にある者の矜持

 ・社員に選ばれる会社、管理者であるべき

 ・マネージャーの役割はプロセスの変革である

 

③ベトナム現地法人での取り組み

 ・ホンダ現地法人に学ぶ企業理念落・品質管理方針の落とし込み、

   マネージャー育成とチームビルディング

会社は私の着任1-2年前に、日本人マネージャー育成のためのセミナープログラムを導入していました。ホンダベトナム出身者が独立してセミナー活動を行っていたもので、大手企業が現地法人を経営する際に日本人マネージャーに求められるマインド、企業理念を落とし込み、部下の管理・育成の在り方を指導する内容は、自身を律する上で非常に重要な学びとなりました。そのレジュメを自身を含めて日本人管理職同志で学ぶ機会を設け、自身の行動を改める契機にして行きました。

※ホンダはベトナムでのバイク市場のシェアが8割と、バイクのことをベトナム人が「ホンダ」と称するほど、圧倒的な地位を確立しています。

これは隣国のカンボジアでも同様でした。進出に際して市場独占の鍵を握る中古市場での転売可能性、修理・保全のための部品供給体制をいち早く確立することが定番施策となっていて、

それと合わせて現地法人運営にあたって日本人マネージャーの育成に力を入れて現地で確固たる地位を確立しているのだと思います。

 

その他の組織体制整備等の取り組みは以下になりますが、どれもが欠くことの出来ないテーマです。

 ・業務分掌規定、職務記述書+工数算定 等の組織基盤整備

部署間の役割分担、各人の職務範囲・使命を明文化しておく必要があります。

 ・人事制度設計:職能等級制度と役職制度の組み合わせ

役職制度一本しかないと、役職の乱発、役職者への信頼低下を招きやすいです。

部下を持つ管理職に適さないけれども専門性で企業に必要な人材に適正な給与と名誉を付与する職能等級制度が生きて来ます。

 ・退職社員抑制:社員の幸福度向上、退職抑制が生産性の維持に繋がる

退職者を補充して一人前に育てるには、採用費用だけでなく教育に要する時間が必要なほか、本来の生産性に達するまでに数か月を要する場合があり、コスト・生産性の面で退職者を新人で補うのはマイナスになります。

 ・カイゼン活動・QC、ISO:

   何故日本人にしかカイゼン活動が出来ないのか:日本の根源的な思想

   カイゼン活動・QC、ISOについては、各々別項で取り上げます。

④数々の反面教師達

ベトナムをはじめとした海外現地法人、外国企業での勤務での幾つかの反面教師を列記します。記事を読まれる方が、自身がこのような状態に陥っていないかを顧みる上でお役に立つと思います。

・社員はカネと恐怖で動くという根本的に誤った考え方で、次々と飴と鞭の施策を繰り出すも、一向にマネジメント層も社員も育たない、というのが典型的事例です。

 人事の専門家は理解していると思いますが、人々が働く会社を選択する基準は給料の高さがトップではなく、そこでの遣り甲斐、自己実現の可能性が最大の動機です。そこに、ノルマを達成したら褒章を与え、達成しないと減給・降格するといったやり方では、自発性を引き出すことはおろか、人を惹き付けることが出来ません。

・現地人社員に対しては気を遣うが、日本人社員に対してはパワハラ三昧の日本人経営者

現地人の尊敬を集めようと努力するものの、日本人マネージャーに対しては、日本企業に根付いてしまった悪しき慣習である、上の者は下に対してどんな横暴な発言も許されるという発想が日系現地法人で頻繁に見られます。これでは、要となる日本人マネージャーを育てることが出来ず、自発性を引き出すことは出来ません。

・経営者が現地人の尊敬を集めようと部下の役員層を飛び越えて「有難いお話」、リーダーシップ論を現地人マネージャーの退勤後の時間を使って施す。

経営者の名誉欲が組織を壊して行くだけでなく、このような動機に基づく講話は、言行不一致(立派な事を言いながら自身はそれを実行出来ていない)に気付かず、日本人マネージャーからの信頼を悉く失って行った事例があります。

 他にも幾つもの事例がありますが、ベトナムに関する項で詳しく説明します。

⑤自身が到達した経営者のあるべき姿:

 ・他者への愛が全てである

 ・経営者の役割は「経営」である。企業の将来像を形成するための営みである。

  日常のオペレーションはNo2以下の仕事。

  No2で得られる人材が最も重要、それが日本人であるか、現地人であるかに関わらない。このポジションの人材獲得・育成に、最大限の情熱を注ぐべき。そこが核になってマネージャー育成・人材発掘・登用を行うことで、モラルの高い人材・組織が育つ。

これらの理念から実務までを「中小企業経営者のための法人営業の教科書 マーケティング思考の営業戦略と自律的組織運営」にまとめ、Webセミナーを提供しています。

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