海外で仕事をするにあたっては、本来現地語をマスターして会話が出来るようになることは必須です。ベトナムで仕事をするにあたってはベトナム語を習得すべきというのは大原則です。
2019年頃、AN‘sSPA経営者のAnさんの講演をHCMCで聴講した際、彼女が勤務したen Japanの副会長の教えとして、以下のお話がありました。
ベトナム人の心理を掴む方法は、
出来る限りローカルの地に住み、現地人の給与で生活せよ、
ランチはベトナム人と食べ、彼等がどこに行って喜ぶか、
どんな話をするか、笑う時は何で笑うか、
何を、何故買いたいか、スマホやバイクなど。
実家に行くと、その人の成り立ちが分かる。
そのためベトナム語を勉強せよ。
これはまだベトナム語を習得出来ていない身には耳が痛いお話ではあるものの、海外現地で勤務する際の本来のあるべき姿勢であることは間違いありません。
これをもって発奮しかけたものの、勤務先の公用語が英語で、親しい友人も英語が堪能だったため、基礎学習は終えたものの、会話が出来るレベルには到達出来ませんでした。
実はベトナム語は6声と言って、同じアルファベット表記でも上下に付く符号でイントネーションを使いわける必要があり、それによって意味が異なるため、これを聞き分けて、発音を仕分けるのは日本人にとっては非常にハードルが高いという事情があります。
初めてベトナムに来た日本人が一番ポピュラーなフォーを食べたくて注文しても、それさえ通じないというのは良く言われることです。
英語の勧め
ならば、次善の策としては英語を使うということになります。
一般生活においては、ハノイであれば6割がた、HCMCでは8割がたの人が英語が通じるとう感覚ですが、田舎に行くとこの比率は極端に下がります。
(ちなみに、4ヶ月ほど勤務したカンボジア プノンペンでは100%のビジネスマンがビジネス上で英語を使いこなせたのは驚きでした)
問題は、勤務先の言語環境です。
ベトナムでは英語学習が盛んに行われているため、英語話者を採用するのは容易です。支払うべき給与は、ベトナム語だけの社員に比べて2倍位のイメージですが、日本語話者は更にその2倍位の感覚です。
現地に進出する日系企業は、このコストと自社人材の言語能力を考慮して、日本語を公用語とするか、英語を公用語とするか選択することになります。
ITシステムインテグレータの仕事をしていた時に、ある顧客企業では英語が出来る方が社長だけで、それ以外の日本人は日本語以外出来ない状況でした。その会社のIT設備トラブルの際に私の会社の英語が出来るベトナム人エンジニアが訪問してトラブルへの対処が終わって、その説明をベトナム人顧客に行ったのですが、その内容を先方の日本語話者が日本人管理者に説明したものの、あなたの会社はきちんとした説明をしないと管理者から苦情を言われたことがありました。
詳細をヒアリングして行くと、顧客の日本語話者がITエンジニアの細かい説明を端折って日本人管理者に伝えていたためであることが分かりました。
その会社の場合、その事例以外でも多数の社内コミュニケーションの食い違いがあり、そのたびに我々が苦情を言われて閉口した経験があります。我々業者が絡む時以外でも多くのコミュニケーションミスが起きていることは想像に難くありません。
日本語しか出来ない日本人のみの環境の場合、日本語話者にはN1、最低でもN2以上のベトナム人社員を採用することをお勧めします。
同時に、せめて英語だけでも出来れば、コミュニケーションの幅が広がるので、やってみませんか、というのが本稿の趣旨です。
殆どの日本人は受験を含めて英語が必須であるため、読み書きの素養はあると思います。
問題は会話です。
英会話で必要になるのは、何をしたい、何がどうなった、といった動詞です。
実は、英語で頻繁に使われるの動詞は7-8個です。
その動詞が使われる場面、意味、方向のイメージが掴めると、英語の発話は容易に出来るようになります。そして、発話が出来ると、聞き取りが出来るようになるので、まずは発話のための動詞を掴んでしまいましょう、ということなんです。
最初に私が英語を使う必要に迫られたのが、ベンチャー企業時代に米国のサプライヤーとのシステムの仕様や設計に関するやりとりでした。
この時に出会った書籍が「英語はHaveだ」西村喜久(明日香出版)、「6つの動詞で英会話がペラペラ」西村喜久(扶桑社)などでした。
私の言う8つの動詞とは以下です。
have 方向は掌で受けるイメージ、食事を摂るもHaveです。Let’s have dinner tonight. などと使います。eatは、がつがつ食う感じ。What is your name?はGentleでないのでMay I have your name?という使い方をします。
使役動詞として、彼に何々をさせるhave him clean up the room など。
make その場に止まっているイメージ。何かを作る、施す。I made a mistake.私がミスをしてしまいました。などど使います。
make me sad 私を悲しませるなどの使役動詞としても使います。
take 方向は「取って行く:取っtake」と覚えます。
つまり拾い上げて自分に向かうイメージ
Take a brake.休んでください。May we take a picture together?一緒に写真撮りません?といった感じです。
give 私からあなたや彼・彼女の方向へ与える。
get 相手から得る、自分に向かうイメージ。
go 行く。ある場所から離れるイメージ。
come 来る、と日本語では訳しますが、ある場所から、あなたの居る場所に「行く」という使い方をします。I will come to your office at 11AM today. という使い方です。
ここでgoを使うと、そこから離れて行く印象を与えて意味が通じなくなりますので注意。
put 置く。前置詞を伴ってput on the tableなどと使います。
これだけです。
これらの使い方が掴めて、ネイティブの発音で例文を聴いてそれを繰り返し口に付ける(口に体で覚えさせる)ことで、後は名詞や形容詞、副詞を組み替えれば発話が出来上がります。
口に体で覚えさせると、その単語のリスニングも同時に出来るようになります。
これがお役に立てれば幸いです。
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